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品質管理方法 その7 膨張試験結果(膨張率の計算)
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前々々回(その4)は、膨張試験の方法を説明しました。
試験で測定した値は次の3つです。
VS:採取した初期スラリーの容積(ml)
W:スラリーの重量(g)
VF:膨張後のスラリーの容積(ml)
これらの値から膨張倍率および全空気率を求めます。
まず、スラリーの膨張倍率EFは
EF=VF/VS (式1) で算出します。
アドサーモの膨張倍率(設計値)は、1.6±0.1です。
次に全空気率を求めるのに、初期スラリーの嵩密度と起泡率を計算します。
初期スラリーの嵩密度DSは
DS=W/VS (式2)
初期スラリーの起泡率ESは
ES=1.48/DS (式3)
起泡については過去ブログの「アドサーモの泡―起泡と発泡―」を参照ください。
1.48という値は標準配合で製造した時のスラリーの真密度(g/cm3)です。
真密度とは泡を含まない状態での密度をいい、原料配合比と原料密度から計算しています。
初期スラリーに含まれる(起泡)空気と膨張によって発生した(発泡)空気の合計が、材料中に含まれる全空気量となります。
その空気率Eは次の式で求めます。
E=1-(1/(EF×ES))×100(百分率) (式4)
アドサーモの場合、空気率Eは約50%になります。つまり体積の約半分が気泡となっています。
具体的な数値で計算してみましょう。
スラリーの重量Wが600g、採取した時のスラリーの容積VSが500ml、膨張後のスラリーの容積VFが800mlだったとしましょう。
式1から800/500=1.6でアドサーモの膨張倍率EFは1.6となります。
式2から600/500=1.2で初期スラリーの嵩密度が1.2(g/cm3)です。
式3から1.48/1.2≒1.23となり、初期スラリーの起泡率ESは1.23となります。
そして式4により1―(1/(1.6×1.23))×100≒49.2となり、空気率は49.2%であると計算できます。
測定値を入力すれば計算結果を出すエクセルシートを用意しておりますので、必要な時はお問合せ下さい。